■平成25年度税制改正・・・公認会計士・税理士 吉井清信
今回は、現在国会で審議され、3月中に成立見込みの平成25年度税制改正について取り上げたいと思います。 平成24年度税制改正が民主党の混乱もあり僅かな改正であったのに対し、今回の改正は、相続税・贈与税の改正を中心に皆様に影響があると思われるものが含まれておりますので、重要な改正を中心にご説明します。
1.個人所得税
・課税所得4,000万円超について45%(個人住民税と合わせて55%)という区分を創設、平成27年分以後適用
され、全国で5万人が対象になると言われている。
・消費税率引き上げの影響を平準化するため、住宅ローン減税が平成29年まで延長されるとともに、平成26年
4月以後についてローン残高4,000万円までを対象額(10年間最大で400万円の税額控除)とすることとされ
た。
2.相続税・贈与税
・相続税・贈与税については、
@遺産に係る基礎控除の引下げ(定額控除5,000万円→3,000万円,法定相続人比例控除1,000万円×人数
→600万円×人数)
A相続税・贈与税の最高税率の引き上げ(50%→55%)
B未成年者控除・障害者控除の引き上げ
C相続時精算課税における贈与者の年齢要件の引下げ(65歳以上→60歳以上)、受遺者の対象拡大(20歳
以上である孫を追加)
D直系尊属(20歳以上)を受遺者とする場合の贈与税の税率構造の緩和が盛り込まれ、いずれも平成27年1
月1日以後に取得する財産から適用される。また、相続税の見直しについては、東京など大都市圏の住民
が狙い撃ちになってしまう懸念を払拭するため、小規模宅地の課税価格の計算の特例の適用対象免責を
拡充する(居住用240u→330u)
・事業承継税制の適用要件について、@被相続人の親族以外でも可、A各年雇用8割維持が5年間平均に緩
和、B経済産業大臣による事前確認制度を廃止等がなされ、平成27年1月1日以後に取得等した財産から適
用される。
・直系尊属が30歳未満の受遺者に教育資金に充てるために金融機関に一括して信託等した場合には1人につ
き1,500万円まで贈与税が非課税となる(平成25年4月1日から平成27年12月31日)。
3.法人税
・研究開発の拡充、設備投資促進税制の創設、雇用・労働分配拡大のための税制措置、環境関連投資促進
税の拡充等があるが、中小企業の交際費課税の特例は、損金算入割合(90%)が撤廃され、支出額が800万
円までは全額損金可能となった。
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