■従業員等に対する昼食等の支給と所得税について・・・公認会計士・税理士 吉井清信
会社が福利厚生の一環として、従業員に対して昼食を無償で支給するケースがあります。
食事代は、本来自己の獲得した所得(給与所得)の中から支弁すべきものですので、会社が食事代を何らかの形で負担した場合、食事の支給を受けた人にとって食事代相当額の経済的利益が発生したことになり、現物給与として給与所得の収入金額として課税されことになります。
しかしながら、会社の支給する食事については、業務上の必要性や福利厚生的な側面もあることから、一律に課税することは必ずしも適当でなく、以下のように、一定の条件を満たす食事の現物給与については、課税されないこととされています。
(1)昼食等の支給
会社が役員又は従業員に対し正規の勤務時間中に支給する昼食等の食事については、福利厚生的な性格が あることを考慮し、次のいずれにも該当する場合には、食事の支給による経済的な利益はないものとされます。
@その役員又は従業員が食事の価額の50%相当額以上を負担していること
A支給した食事について会社が負担した金額が3,500円以下であること
例えば、その月の食事の価額が10,000円である場合、徴収した食事代が6,500円以上であれば問題ないことに なります。会社が負担した金額が月額3,500円以下であるかどうかの非課税限度額の判定は、消費税等の税抜 金額ですので、税込金額としては3,685円まで認められることになります。
(2)残業又は宿日直の際に支給する食事
会社が、正規の勤務時間とする人に対し、時間外勤務(いわゆる残業)をさせた場合や、宿日直勤務をさせた 場合において、夕食又は朝食を支給するときの食事は、実費弁償の観点から支給するものである点を考慮し、 課税されないこととされています。
基本的には上記の通りではありますが、例えば、昼食休憩中でありながら電話等の受付業務を担当するなど、 実費弁償的な要素があるのであれば、正規の勤務時間中であっても食事の支給は課税されないものと考えられ ます。
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