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会計・税務 豆知識

中小企業等の財務改善に影響を与えるDES関連の税制改正・・・ 公認会計士(税理士)・吉井清信

 会社法施行に伴う平成18年度法人税の改正により、これまで中小企業等で財務改善策として利用されてきた、オーナー等からの借入金を株式(資本金)に振り替えるデット・エクイティ・スワップ(DES)について、債権の受入金額を税務上、券面額ではなく時価とすることが明確化されました。これにより、財務内容の改善策として、DESを安易に採用することができなくなりました。具体的には、以下の通りです。

 (1)券面額と時価との差額を債務消滅益として認識
   中小企業においてDESは、特に金融機関からの融資を受けるにあたり、債務超過状態にある財務内容を改善し
  貸借対照表を健全化するために用いられます。すなわち、オーナーからの借入金を株式に振り替えることで、債務
  超過状態にある財務内容を改善する方法が良く採用されてきました。

   しかし、今回の改正により、債権の時価は、悪化している会社の財務内容を反映して、券面額を下回ることか
  ら、その券面額と時価との差額を債務消滅益として認識することが必要となってきます。

   もともと、税負担の問題を避けるために債務免除の方法でなく、DESを利用していた中小企業等にとって、債務
  消滅益を認識するということは税金負担の可能性が生じることで、DESの採用に消極的にならざるを得なくなって
  います。

  (例)
   <従 来>
    (借方) 債 務  1,000  (貸方) 資本金  1,000
   <改 正>
    (借方) 債 務  1,000  (貸方) 資本金   200
                        債務消滅益  800←税金発生の可能性

 (2)時価の算定の困難性
   また、実際に債権を時価で評価することについては、具体的にどのように算定するかが問題となります。

   一般的には、債務会社の資産等を時価で評価するなどした債権の担保価値等から判断することになりますが、
  将来得られる利益やそれらを基にした将来生み出されるであろうキャッシュフローを割り引いて算定した現在価値
  も時価を構成します。

   その他に、従来の券面金額を時価そのものとみる考え方もあり、課税の予測可能性の面から、債権時価算定方
  法の実務上の取扱いについて明確化されることが期待されています。


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