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会計・税務 豆知識

会社法施行に伴う有限会社(特例有限会社)の事業承継へのメリット・・・ 公認会計士(税理士)・吉井清信

 会社法施行前の現行法では、非上場株式を相続した株主の過重な税負担を軽減するために、特例として、相続開始の日の翌日から3年以内に、相続により取得した株式を発行会社に買い取ってもらった場合には「みなし配当課税」を適用せず、所得税15%,住民税5%の株式譲渡所得課税を適用する.ことが認められています。

 ところが、「みなし配当課税不適用の特例」の対象は「上場会社等以外の株式会社の発行した株式」を譲渡した場合に限られており、有限会社が発行している出資持分については、株式とは異なることから適用対象外とされていました。つまり、出資持分を相続し発行会社に譲渡した場合には、資本等の金額を超える部分については、みなし配当とされ所得税及び住民税が最高50%の税率で課されるケースもあったのです。

 この様な取扱いも、会社法施行後は特例有限会社の出資持分が自動的に株式とみなされることから、措置法で規定する「上場会社等以外の株式会社の発行した株式」に該当することとなり、「みなし配当課税不適用の特例」の適用を受けることが可能となりました。同時に、相続財産を譲渡した場合の取得費の加算特例についても、全面的に適用することが可能となります。

 また、現行法上では、自己株式の取得は定時総会での特別決議が必要とされているため、定時総会直後に出資持分を相続した場合、次回の定時総会まで自社株の譲渡を待たなければならないケースも生じていましたが、会社法施行により、臨時総会の普通決議でも認められることとなるため、「みなし配当課税不適用の特例」は今後更に多く利用され、事業承継に役立つことが期待されます。

 なお、この取扱いは、平成18年5月1日以降に譲渡を行ったみなし株式(出資)から適用されます。


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