特許権等の知的資産の会計(評価)・・・・・・・
公認会計士(税理士)・吉井清信
知的資産は、我々会計に携わる者にとって、特に評価の面で難しいテーマです。
景気低迷のなか、日本企業の国際競争力を維持するために、知的財産が見直されています。最近の先端技術企業のとしては、公開にさらされ、いずれ模倣されてしまう特許権等の申請を敢えて行わず、社内における徹底した情報管理による他社への技術漏洩を防ぐ行動にでている状況です。
このように企業の競争力の源泉としての知的資産の重要性を考えた場合、これまでの可視的資産や取引記録の検証可能性を重視した会計システムでは、適正な企業評価及び株価鑑定が困難な状況になっているのです。
しかしながら、知的資産は複合的要素によって構成され、評価が極めて困難です。
そこで、知的資産の客観的な評価が行えるよう、平成13年に特許法が改正され、計算鑑定人制度が創設され、具体的な計算鑑定人としては公認会計士や大学教授等が想定されています。
また、公認会計士協会では研究報告で、具体的な評価方法を例示し、公認会計士が実際に評価に携わるうえでマニュアルとして利用できるようになってきています。
具体的に知的資産の評価方法としては、@コスト・アプローチ、Aインカム・アプローチ、Bマーケット・アプローチがありますが、いずれにも長所・短所があり絶対的に優れているとはいえず、評価を行う状況や評価の目的などに応じて、各方法を使い分けたり、いくつかの方法を併用することになりますが、個人的には、Aのインカム・アプローチの将来得られるキャッシュ・フローで評価するのが優れた方法であると思います。
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