破産手続の会計・税務に対する影響・・・・・・・
公認会計士(税理士)・吉井清信
【破産する側】
個人・法人とも、破産に移行したとしても、死亡・消滅等により人格そのものがなくなるわけではありませので、申告納税義務を免除されることにはなりません。納税諸手続はいずれの場合も破産管財人において行われることになります。
但し、実務的には、個人破産の場合通常所得が発生しませんので、還付目的以外、所得税の申告の必要がなくなります。
【破産される(債権者)側】
法人の場合、債務者が破産したときは、その有する債権について、担保物処分後、保証債務を現実に履行した後、最終的な回収不能額を貸倒処理することになります。実務的には、債務者が破産手続に入ったとしても清算確定までは時間を要しますので、債権を直接減額する貸倒損失処理に代えて、まず貸倒引当金を個別に設定することになります。
そこで、貸倒損失を早期に確定させたいということであれば、@回収不能債権額を債務者に対し書面により債務免除するか、A債権を外部に売却することで、貸倒損失を確定させることができます。但し、資本関係を有する者等に対する安易な債務免除は、貸倒損失が否認され寄付金に認定される可能性がありますので注意が必要です。
個人の場合、債権が営業債権か営業外債権かにより取扱いが異なります。@事業遂行上生じた債権(売掛金、貸付金、前渡金等の債権)の貸倒損失及び貸倒引当金の設定については、法人の場合の取扱いと同じです。A事業遂行に関連のない債権の貸倒損失は、原則として個人の所得金額の計算に影響はありません。 |