民事再生の税務・・・・・・・ 公認会計士(税理士)・吉井清信
民事再生手続に関連する税務は、@債務者、A債権者、B株主、C債務者と一定の利害関係を有する者に分けての検討が重要です。各当事者でそれぞれ中心となる税務上の問題点について、以下の通りまとめてみましたので、ご参考下さい。
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ポイント |
内 容 |
再生債務者 (申立人) |
資産の評価損の計上と債務免除益に関する課税 |
・再生計画案の認可決定に伴う再生債権の切捨てにより多額の債務免除益が発生することになるが、債務免除益に課税されてしまうと再生債権者に対する弁済原資が減少することになってしまう。
・そこで、再生計画を策定する際に、欠損金による控除限度額、資産の評価損の額及び資産の売却損益額の見積もりと計上時期の検討を行い、債務免除益に対する課税をどこまで減額できるかのタックスプランニングが重要になる。 |
再生債権 |
債権に関する貸倒引当金の計上、貸倒損失処理 |
@民事再生申立時点で債権の2分の1まで貸倒引当金の計上が可能。
A再生計画の認可決定により、切捨てが確定した債権の額については、法人がこれを貸倒れとして損金に経理していると否とにかかわらず、税務上その消滅した時点において損金の額に算入。
B再生計画において5年を超えて弁済される額は個別評価による貸倒引当金の繰入が可能。 |
株主 |
有価証券の評価損(非上場株式) |
保有している株式につき当該会社が民事再生の開始決定を受けた場合には、保有している株式につき評価損の計上が可能。 |
利害関係人
(保証人) |
保証債務の履行に係る譲渡益課税 |
保証債務の履行のために資産を譲渡した場合には、保証人は主債務者に対し求償権を有するとともに、当該譲渡については譲渡益課税が発生するのが原則である。しかし、求償権の内、行使できなかった分は回収不能額とみなし、これに対応する譲渡益はなかったものとして譲渡所得の計算が行われる。求償権行使不能額は、主債務者が再生手続開始決定により回収不能となった額である。 |
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