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知っておきたい法令


「越境した竹木の枝の切除に関する民法の改正」・・・弁護士・水野賢一

 令和3年に成立した民法等の一部を改正する法律が令和5年4月1日に施行されたことは、第84号の特集で紹介したとおりです。今回改正されたもののひとつに、越境した竹木の枝の切除があります。
 越境した竹木の枝については、改正前では、竹木の所有者に切除させることができるとだけされていました。隣地の竹木の枝に越境された土地の所有者自らが、その枝を切り取ることができるとはされていなかったのです。このため、竹木の所有者が切除に応じてくれない場合、越境された土地の所有者は、訴訟によって越境した竹木の枝の切除を命ずる判決を得て、この判決による強制執行をするのでなければ、枝を切り取ることができませんでした。
 今回の改正では、越境した竹木の枝を、越境された土地の所有者自らが一定の要件の下で切り取ることを認める規定が追加されました。これによって、越境された土地の所有者は、@竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しなかったとき、A竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、B急迫の事情があるときのいずれかの要件に該当すれば、自らにおいて越境された竹木の枝を切り取ることができるようになりました(民法233条3項)。



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