「会社法の一部を改正する法律　キャッシュ・アウト法制」・・・弁護士・花田行央

　会社法の一部を改正する法律が平成２６年６月２７日に成立しました。現在，施行はされていませんが，改正の一つである株式等売渡請求（改正会社法１７９条の二以下）について説明します。

　株式等売渡請求は，一般にキャッシュ・アウト法制とよばれ，ある会社の９０％以上を実質的に保有する特別支配株主が，その他の少数株主に対して，当該会社の株式や新株予約権の譲渡を請求できるという制度です。適用が想定される場面としては，対象会社を完全子会社とする場合であり，これにより円滑な組織再編を行なえるようになります。

　従来，全部取得条項付種類株式の利用により，少数株主の退出が図られてきましたが，手続が煩雑であり，もともとの制度趣旨と異なる利用方法であるなどの問題点が指摘されていました。

　施行後は，キャッシュ・アウト手続により，特別支配株主が直接少数株主に対して，株式の売渡請求をすることが可能となることで，会社の組織再編が進むことが予想されます。