労働者派遣法について・・・弁護士・梶 智史
労働者派遣法は,正式には「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といいます。
同法は,その第1条に記載されているとおり,「職業安定法と相まって労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに,派遣労働者の保護等を図り,もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的と」しています。
本法で規制の対象となる「労働者派遣」とは,派遣元が自身で雇用している労働者を他人(派遣先)の指揮命令下で労働させるというものです。労働者派遣業を行うためには厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。派遣元が,派遣先から支払われる賃金を中間搾取し,労働者を害するおそれがあるためです。
派遣労働者は,企業にとってみれば,雇用調整を行う際に有用です。しかしながら,派遣労働者からみればいつ仕事がなくなるかわからないため,非常に不安定な地位にあるといえます。
そのため本法は,派遣労働者の保護のための制度を規定しています。
平成24年の改正では,派遣元に対し,無期雇用への転換推進措置を講ずる努力義務を課し,また,同種の業務に従事する者の賃金水準を考慮し,派遣労働者の賃金を決定するよう配慮する義務を課すなど,派遣労働者の待遇改善・保護を図るための規制が設けられました。
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