「デジタル著作権の規制と緩和(平成21年著作権法改正)」・・・弁護士・市河真吾
平成21年6月に著作権法が改正され(施行は平成22年1月)、いわゆるデジタル著作権に関する新たな規制が設けられました。
まず、デジタルコンテンツの流通促進等の規制緩和として、グーグルなどの検索エンジンによるサイトのキャッシュやストリーミング配信のキャッシュ保存(複製)は、必要な限度で権利者の許諾がなくても可能となり明示的に適法化されました(47条の6)。また、国会図書館の書籍の電子化(31条2項)、障害者用の字幕手話付加(37条3項、37条の2)、ネット販売の美術品の画像掲載(47条の2)など権利者許諾がなくても可能とされました。さらに権利者不明の場合の裁定制度も拡充されました(67条の2第1項)。
他方、違法複製物の流通阻止の規制として、改正法はインターネット上にアップロードされた違法な音楽・動画ファイル(無断複製ファイル)をダウンロードする行為も違法として禁止しています(30条1項 但し罰則はない)。違法な複製ファイルの流通を防止するため、明示的にダウンロード行為を違法としたものです。罰則がないとはいえ、民事賠償責任は免責されていないので、注意しなければなりません。また、違法複製物(海賊版DVD、CDなど)をネットオークションに出品する行為も禁止され、罰則もあります(113条、121条の2)。
このようなインターネット上のデジタルコンテンツの流通促進と違法な複製物の流通の阻止という流れは、今後も続きますが、何が違法とされ何が適法とされるかは流動的であり、今後の改正、運用の動きにも注意が必要です。
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