「振り込め詐欺救済法」・・・・・・・弁護士 上田裕介
平成19年の国会において、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)が成立しました。
この法律は、財産を侵害する犯罪行為で、振り込みが利用されたものによる被害者に対して、被害回復分配金の支払手続き等を定めるものです。具体的には、この法律で、次の各事項等が定められています。
1 金融機関は、犯罪に利用された預金口座である疑いがあると認める預金口座等について、取引の停止等の措置を 講ずる。
2 金融機関は、犯罪に利用された預金口座であると疑うに足りる相当な理由があると認める預金口座について、預 金保険機構に対し、公告を求める。
3 名義人等による権利行使の届出等に係る期間(60日以上)内に権利行使の届出又は強制執行等がないときは、 2の公告にかかる預金債権は消滅する。
4 金融機関は、3により消滅した預金債権の額(1000円以上に限る。)の金銭を原資として、被害者に対し、被害回 復分配金の支払をしなければならない。
したがって、万が一、振り込め詐欺の被害に遭ったときには、まず、警察や金融機関に連絡して、振り込んだ預金口座の利用停止を求めることが大切です。
振り込め詐欺の犯人らによって、入金の都度、銀行口座から現金が引出されていて、口座内に金員が残っていないことも十分に考えられ、振り込め詐欺救済法のみによって、被害回復が完全になされる訳ではありませんが、被害者救済のための手段が法律によって設けられたものです。
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