男女雇用機会均等法・・・・・・・・弁護士・野澤 隆
男女雇用機会均等法(現在の正式名「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)は,法の下の平等(憲法14条),公序良俗違反行為の無効(民法90条),男女同一賃金の原則(労働基準法4条)などの一般的な法規制では,労働分野における男女平等がなかなか進まない現実を背景に,勤労婦人福祉法(昭和47年制定)を改正し,昭和60年に制定された法律です。
この法律は,募集・配置・昇進・定年・解雇等だけでなく,教育訓練・福利厚生などにおける差別のほか,婚姻・妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いも禁止しており,事業主の配慮義務や紛争調整委員会による調停手続きなども定めています。
なお,平成18年の改正(平成19年4月1日施行)では,男女双方に対する差別の禁止,合理的理由もなく身長・体重や転勤経験の有無などを理由として不利益を与える間接差別の禁止,違反企業名公表制度の拡大,過料による制裁制度の創設,ポジティブ・アクション(男女間の格差解消のための積極的取組み)に対する国の援助制度の更なる推進などが定められました。こうした改正を実際に機能させるには,この法律と密接な関連を有する育児・介護休業法,パートタイム労働法などとの連動が不可欠ですので,今後もこの分野における各種の法改正等に注目する必要があるといえるでしょう。
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