「所有権留保特約と、動産債権譲渡登記がなされた集合動産譲渡担保の関係
(最高裁第二小判 平成30年12月7日 民集72巻6号1044頁)
」・・弁護士・吉川 愛
所有権留保特約付きで売却された集合動産(毎月締め日が決まっており、翌月10日の代金の支払により所有権が買主に移転するという契約)について、当該動産が買主側の債権者によって、集合動産譲渡担保が設定され、動産債権譲渡登記もなされているという事案について、買主の倒産により、売買代金支払未了であることを理由に売主が所有権を前提に動産引渡断交の仮処分を実行し、最終的に当該動産を売却処分した。これに対し、買主の債権者が売主に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
最高裁は、契約の内容を重視し、具体的契約の中身を見るに、今回問題となった動産(ただし、一部は支払い済み動産が含まれておりこの部分については別議論)については、債権と動産の牽連性が強いことを重視した上、留保所有権の譲渡担保権に対する優先を認めた。個別具体的な契約の解釈を前提とするが、所有権留保が認められる場合、登記を具備しても集合譲渡担保権者は優先できないということとなるため、実務運用について注意が必要である。
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