「同一労働同一賃金の原則に関しての判例」・・弁護士・松村博文
同一労働同一賃金の原則に関しての判例を紹介します。
一 労働条件の相違が不合理かどうかを判断するには、手当などの当該条件の趣旨を個別に考慮し、趣旨の合理性とその趣旨のための条件として適切かどうか、という点で判断すべきである(大阪高裁平成31年1月24日判決)と判示しました。
特徴は
@ 手当の趣旨として「長期雇用を前提とする正社員に有意な人材を確保し、長期的なインセンティブを与えるため」との手当の趣旨を容認したことにあります。
A 具体的には、扶養手当を含む家族手当につき、長期雇用システムの下で家族構成や生活環境が変化することによる生活費の増減を前提にしていることや有用な人材の定着を目的としていることなどから待遇の相違を合理的としました。
B 年末年始勤務手当については郵便局の年末年始の忙しさの特殊性を認めて一定の合理性を認めています。
二 結局、裁判所の兆候は、違う条件を設けた趣旨の合理性とその趣旨に照らした場合の規定内容の合理性によって判断されるとする方法がとられているといえます。
非正規雇用と正規雇用に差をもうけるときには、条件の違いの趣旨を明確にしてその合理性を十分説明できるように専門家の判断を仰ぎながら検証しておくべきでしょう。
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