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気になる裁判例

「弁護士会照会(最高裁判所 平成30年12月21日判決)」・・弁護士・関 友樹

 弁護士には、弁護士会照会といって「所属している弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる」とされています(弁護士法23条の2)。いわゆる23条照会という制度であり、昭和26年の弁護士法改正の際に設置され、弁護士の重要な証拠収集の手段となっています。
かかる23条照会に対して報告を拒絶した照会先である郵便事業株式会社に対して、報告義務があることの確認を求めた裁判の最高裁判決が平成30年12月21日第二小法廷判決で出されました。当該判決によれば、「23条照会の相手方に報告義務があることを確認する判決が確定しても、弁護士会は、専ら当該相手方による任意の履行を期待するほかない」とし、結論として「報告義務に関する法律上の紛争の解決に資するものとはいえないから、23条照会をした弁護士会に、上記判決を求める法律上の利益はない」として訴えを不適法却下する判決を出しました。
 上記最高裁判例は、照会先の報告義務を否定しているわけではありません。しかし、照会先の相手方が正当な理由なく拒んだ場合の対応については棚上げされたままの状態になっているといえます。したがって、現状においては照会先との地道な協議や、釈明処分としての調査嘱託(民事訴訟法151条1項6号)が提唱されています。法改正も含めた抜本的な方策が期待されるところです。


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