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気になる裁判例

「根保証契約」・・・弁護士・吉川 愛

 債権者が債務者から継続してお金の貸し借りをするような場合の担保として、根抵当や根保証といった制度があります。根抵当権については、被担保債権が元本確定前に第三者に移転するようなことがあっても、元本確定前であれば、根抵当権は移転しないことが民法上明記されています。つまりは、元本確定前に債権者が根抵当権の範囲にある債権を第三者に譲渡したとしても、第三者は根抵当権を実行することはできないこととなります。これに対して、根保証については、法律上明確な規定がなく、議論が交わされている状態でした。

 そのような中、平成24年12月14日、最高裁は、根保証の主たる債務に含まれる債務に係る債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間においてその債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができる、とし、根抵当権と根保証では別の考え方をすることを明らかにしました。

 ただし、「別段の合意がない限り」と条件を付しており、根保証契約において、主たる債務の範囲に含まれる債務のうち、元本確定日の時点で主債務者が当初の債権者に対して負う債務についてのみ保証人がその責任を負うという定めを置いておけば、根保証人は元本確定前に第三者に債権が譲渡されたとしても、第三者からの請求を拒むことができることとなる可能性もあります。

 根保証契約は、主債務者の債権者に対する債務を一定期間保証するという大変重い責任を負うこととなります。これについて、根保証人にとっては重い責任をさらに確定づけられた判断とはなりましたが、自由契約の上ですので、契約時にきちんとどの部分を保証するのか、しっかり決めて合意しておくことが肝心であると言えます。


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