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気になる裁判例


「契約の中途解約を行った場合における受講料の返還」 ・・・ 弁護士・野澤 隆

 大手の英会話学校を営む事業者に対して契約の中途解除を行った受講生が,受講料の返還を求めた裁判において,平成19年4月3日,最高裁判所第三小法廷は,学校側の上告を棄却し,受講生側の勝訴を確定させる判断を下しました。
 
 この判例によると,大量購入すれば割安となる料金規定に従って予め支払った受講料をポイントとし,ポイントごとに授業の受講を認め,中途解除をした場合には,契約時よりも高い単価で受講済みの分を計算して残額のみを返還するこの学校で採られていたシステムは,特定商取引法(正式名「特定商取引に関する法律」)に違反し,受講生の自由な解除権の行使を不当に制約するものである,とされております。

 中途解除・解約時における返還金等については,各地でトラブルが頻発し,数多くの裁判が起こされていますので,この判例の意味は大きく,特に,この判例が射程としている特定商取引法41条で規定する特定継続的役務提供を行っている事業者については,事業展開に修正を迫られる可能性が高いといえます。

 したがって,消費者側としては,解除・解約については,事業者側に有利な形でほとんどの契約が締結されている現状をふまえ,自分の権利が侵害されていないかあらためて確認し,逆に,事業者側の担当者としては,無用なトラブルが生じないように契約内容の再点検をする必要があるといえるでしょう。


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