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気になる裁判例

自動車による通行を前提とする囲繞地通行権・・・ 弁護士・野澤 隆

  袋地(ふくろじ,他の土地に囲まれて公道に通じない土地)の住人が,自動車を使って囲繞地(いにょうち,袋地を囲んでいる土地)を通行する際に近隣トラブルを起こしてしまうことは,車社会の現代ではよくある話です。

 この点,民法は,「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は,公道に至るため,その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる(210条1項)。」と規定するだけですが,平成18年3月16日,最高裁判所は,この問題につき,一定の基準を示しました。

 それによると(「囲繞」という難語は,民法の現代語化に伴い廃止),「自動車による通行を前提とする210条通行権の成否及びその具体的内容は,他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,自動車による通行を前提とする210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。」となっています。

 この判例でも,いまだ明確な基準とは言いがたいのですが,一定の判断要素を示し,今後の近隣トラブルを解決する際の目安となると考えられますので,自動車や不動産に関係のある方などは,ちょっと気にしておいた方がいい,と思われます。


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