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気になる裁判例

インターネット電子掲示板上の名誉毀損 ・・・・・・・・・ 弁護士・藤川綱之

 最近、インターネット電子掲示板上に、名誉を毀損されるような書き込みをされたという相談をよく受けます。相談者は、書き込みをした発信者を見つけ出し、責任を追及したいと訴えますが、それほど容易ではないというのが現実です。

 この点、プロバイダ責任制限法4条1項は、「明白な権利侵害」及び「正当な理由」を要件として、掲示板管理運営社等に対する発信者情報の開示請求権を認めており、同法に基づき開示請求が認められた裁判例も存在します(東京地裁平成15年3月31日)。

 しかしながら、東京地裁平成15年6月25日は、「掲示板管理運営者が発信者情報を保有していたとは認められない」等として開示請求を棄却しました(判例時報1869・46)。開示の対象となる情報は掲示板管理運営者等が「保有」するもの、「保有」とは掲示板管理運営者等が体系的に保管しその存在を把握しているものとされており、匿名性の保証された掲示板への発信者情報は「保有」されていないとされたことから、結論が分かれる結果となったといえます。

 多くの掲示板に於いて匿名性が保証されていることから、プロバイダ責任制限法の開示請求権が骨抜きにされ、違法な発言を助長する虞まで否定し得ません。今後の対応を検討していく必要があるものと思われます。


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