■ Web版SUM UP


気になる裁判例

サブリース契約について ・・・・・・・・・ 弁護士・藤川綱之

 先般、サブリース契約に関する3つの最高裁判決が、立て続けに出されました(最三小判平15・10・21が2件、最一小判平15・10・23)。サブリース契約とは、不動産会社が、土地所有者の建築したビルを、賃料保証のもと借り受け、転貸事業を営む一方、土地所有者は、不動産会社の賃料保証を前提として、ビル建築資金の融資等を受けるというスキームの契約です。

 ところが、不動産会社が、バブル経済崩壊による賃料相場の下落に伴い、土地所有者に対し、賃料保証の特約があるにも関わらず、賃料の減額請求をしたことから、サブリース契約に賃料増減請求を認める借地借家法32条の適用があるか否かが争われていたものです。この点、最高裁は、「サブリース契約も建物賃貸借であり、借地借家法32条の適用はある。」、「借地借家法32条は強行法規であり、賃料保証特約によっても、その適用は排除されない。」との判断を示し、賃料減額請求権の行使を認めました。

 もっとも、賃料減額請求権の行使自体は認められたとしても、賃料減額請求の要件を充足するか否か、要件を充足するとして減額幅はどの程度か、という問題は未解決のままです。かかる問題を判断するに際し、賃料保証の特約が設けられた経緯や賃料額が決定された経緯等が、どの程度斟酌されるのか、如何にして当事者の衡平を図るのか、今後の判例の動向が注目されるところです。


[ TOPページ ]  [ 業務内容・費用 ] [事業所案内 ] [SUMUP ] [ お問い合せ

  (C)Copyright AKASAKAMITSUKE SOGO LAW &ACCOUNTING OFFICE. All rights reserved.