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気になる裁判例

「相続させる」 遺言の効力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁護士・藤川綱之

 遺言の表記の仕方として、「財産を誰々に相続させる」と「財産を誰々に遺贈する」の2種類の文言が使い分けられています。このうち、「相続させる」遺言によって、特定の不動産を全部取得した相続人が、共同相続人の法定相続分について、差押をした債権者に対し、登記なくしてその権利を対抗することができる旨の最高裁判例が出されました(最判平14・6・10)。

 「相続させる」遺言の効力については、何らの行為を要せず、被相続人死亡の時、相続により直ちに承継が生じるものとされましたが(最判平3・4・19)、「相続させる」遺言による財産取得者と第三者との対抗関係については、未解決の論点として残されていました。すなわち、「相続させる」遺言による財産取得者は、登記を先んじた第三者に対しても、その権利を主張することができる旨、明らかとなったのです。

 また、「相続させる」遺言の場合、相続人による単独申請で登記手続ができる、遺贈の場合に比して登録免許税が安いなどのメリットもあり、その使用が勧められます。

 なお、不動産の相続と登記については、多くの部分が判例で解決されてきました。この点、法定相続や相続分指定遺言については登記不要、遺産分割や遺贈については登記必要とされています。


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