「相続人は複数いる場合の相続マンションの処分」・・・ 弁護士・松村博文
兄と姉妹3人の合計4人で相続したマンションに兄だけが住んでおり、今回、長姉の私含め3人がこのマンションを処分しようとしたのですが、兄が拒んでおり、どうしようもありません。このような場合出て行ってもらい、処分することはできないのでしょうか。
確かに4分の3の持ち分を有する所有者が処分を考えておられるので、多数決による処分が可能か、問題となります。
この点は、兄がマンションで生活していることは、共有物の管理になります。共有物の管理は、持分の過半数で決定します(民法252条)。このことから、管理者を変更して、兄を追い出せそうですが、管理者の変更は、兄の自分の所有権に基づく使用権がある以上、完全に追い出すことはできず、兄以外の姉妹3人は、自分たちも使用させろとの権利の範囲内でしか認められません。
但し、例外的に共有者の1人が他の共有者の共有持分を否定し、他の共有者の使用収益を認めず、管理方法についての協議も応じないで使用している場合には、共有物の不法占拠者と同視できるとして、明け渡しを認めた判例もあります(昭和35年10月18日)。この場合、遺産分割調停の呼び出し、単独使用の変更の通知などをしておくとこの例外が認められやすくなります。
このような例外にあたらない場合には、遺産分割調停・審判を経て、共有物分割裁判民法256条)によりマンションが処分できることになります。
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