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法律何でも相談

「荒廃した隣家の危険な空き家について」・・・ 弁護士・吉川 愛

 私の実家の隣の家屋に住んでいた方が亡くなりました。その後1年が経過しましたが何も動きがありません。家も荒廃してきており、危険な状況に見えています。なにか対応できることはないのでしょうか。

 家に住まわれていた方が亡くなったということは、相続が発生したということになります。不動産の謄本はだれでも取れますので、まずは隣地の不動産の謄本を取得してみて、所有状況を調べてみることから始めます。所有名義人がお亡くなりになった方から相続人に名義変更がされている状況であれば、その方に連絡して対応を依頼することとなります。しかし、不動産がお亡くなりになった方の名義のままであれば、その方はお亡くなりになっているのでお願いする相手が判明しないこととなります。この段階で弁護士に依頼することにより、相続人を特定して対応を依頼するということも可能です。しかし、対応を依頼すると言っても、従前は当該不動産があなたの実家に実際に危険を及ぼしているような場合以外の対応を求めることは難しい状況でした。また、既にお亡くなりになっている方以外の名義の不動産であったりすることもあり、所有者が誰なのか判然としない不動産もあります。
 近年の法律改正に伴い、所有者が不明である建物について、地震による倒壊や火災などの被害を引き起こす危険性がある場合に、隣地の住民などが利害関係人として裁判所に申立てることで、裁判所が選任した弁護士や司法書士などの管理人が空き家の修繕や、場合によっては売却の処分を行うことができることとなりました。また、不動産の所有者は分かっていても、一定の事由により不動産の管理が行き届いていない場合に、隣地等利害関係人が裁判所に申立をすることにより、選任された管理人が管理を行う制度も併せてできました。所有者不明不動産管理制度、管理不全不動産管理制度、と呼ばれており、令和5年4月1日より施行されます。
 高齢化、少子化に伴う空き家問題は深刻で、行政も立法も対応を検討しています。空き家については相続人がいるような場合に、状況が深刻であれば、行政の方から指導、処分が行われます。命令違反により50万円以下の過料が科されることとなっています。相続人の側からしても対応に迫られる状況となり、この場合には不動産の処分を検討することになります。あまり売れない不動産である場合に対応に困ることもありますが、この点についても相続等により土地を取得した者が土地の所有権を国庫に帰属させるための制度も立法され、令和5年4月27日から施行されます。



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