「黄金株」について・・・ 司法書士(行政書士)・露木 朗
私は、自らが社長をしている会社の拒否権付き種類株式、いわゆる黄金株を持っています。私が死亡した
ときこの株式はどうなるのでしょうか?この黄金株は、私の一代限りにしたいと思いますが、どうしたらよいの でしょうか。
1 今回テーマにあげるのは、拒否権付き種類株式(黄金株)という株式です。黄金株とは、株主総会等におい て決議すべき事項について、当該株主総会決議のほかに、黄金株を有する株主で構成される種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがある株式をいいます。たとえば、拒否権付き種類株式の定めがあれば、合併等の重要議案について、他の株主が承認したとしても、黄金株を有する1人の株主によって、不承認とされうることとなります。拒否権の対象を広く全ての決議事項とすることもできますし、合併等の重要議案のみに限定することもできます。
2 このような株式も財産的価値を有し相続の対象になるので、保有している方が亡くなられた場合、相続人に相続されます。よって、会社にとって好ましくない人が黄金株を相続することも十分考えられます。
3 そんなことになったら、その株式廃止すればいいでしょうと思いますよね。でも、一度拒否権付き株式を発行してしまうと、その株式を無くすには、原則として、拒否権付き種類株式の定めを廃止して普通株式に戻すか、株式の消却手続(株式を消滅させる)による必要があります。ただ、普通株式に戻すに当たってその株主の同意が必要となるので、当然反対されてしまいます。また、株式の消却は、会社が株式を自ら保有している場合のみ可能なので、株式を消却するにはいったん会社がその株式を取得する必要があります。
4 では、拒否権付き種類株式を一代限りにしたい場合どうすればよいでしょうか。
まず、@その株式を譲渡するに当たって会社の承認が求められる場合には、会社が相続人に対して相続した株式を売り渡すよう請求することができるよう定款で定めることができます(会社法174条)。この方法は、一代限りにするものではないですが、会社が相続人から株式を取得することができるので結果的には1代限りにするのと大差はないと思います。
また、A株主が死亡したことを条件に会社が当該株式を取得することができる旨を定款で定めることができます(取得条項付き株式)。この定めがあれば、株主が死亡した際に、会社が当該株式を取得することができるので、結果的に一代限りの株式になると考えられます。黄金株発行後にこれらの定めをするには、その株主の同意が必要ですので、黄金株を発行する段階でこれらの定めを置くことをお勧めします。
拒否権付き種類株式は登記事項ですので、興味がございましたらいつでも当方にご相談下さい。
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