「暴力団排除条例」について・・・ 弁護士・梶 智史
暴力団排除条例ってなんですか?
暴力団排除活動を推進し、都民の安全で平穏な生活を確保し、事業活動の健全な発展を寄与することを
目的として制定された条例です(東京都暴力団排除条例 以下、「暴排条例」といいます。)。
基本理念として、「暴力団と交際しないこと」、「暴力団を恐れないこと」、「暴力団に資金と提供しないこ
と」、「暴力団を利用しないこと」を掲げています(暴排条例第3条)。
平成23年10月1日に東京都と沖縄県で施行されることで、日本全国に同様の条例が制定・施行されてい
ることになります。
私たちの生活になにか変化があるのですか?
直接的に生活に変化があるということはないでしょう。ただし、暴排条例は、都民等の責務として、@暴力
団排除活動に資すると認められる情報を知った場合、都または暴追都民センター等にその情報を提供するこ
と、A都が実施する暴力団排除活動に関する施策に参画または協力すること、B暴力団排除活動に自主的
に、かつ、相互に連携して取り組むよう努めることという努力義務を置いています。
これらの義務に違反した場合、なにか罰則を受けたりするのですか?
努力義務ですので、罰則を受けることはありません。たとえば暴力団排除活動に資すると認められる情報
知ったのにもかかわらず、怖いので情報提供をしなかったとしても、何らかの罰則を受けるということはありま
せん
お店を経営しているのですが、何か気をつけることはありますか?
事業を行っている場合には、暴力団員等に対して、縄張り内で営業を営むことを容認する対償(みかじめ
料)として、利益供与をしてはならないなどの制限を受けます。
これに反しても罰則とかはないんですよね?
いいえ。暴力団員等に利益供与したと認められる事業者については、公安委員会が以後このような行為を
しないように勧告を行います。
そして、この勧告を受けた日から1年以内に、正当な理由なく、再度の利益供与を行った場合、利益供与を
行ったことを公表されてしまいます。
他に何か気をつけることはありますか?
事業者は他にも、事業に関わる契約を締結する際、契約書に相手方や代理人等が暴力団関係者であるこ
とが判明した場合には、その契約を解除することができるという規定を置くように努めなければいけません。
いわゆる暴排条項ですね。
でも、いざ暴力団員だと判明しても、契約を解除するのは怖いと思うのですが?
暴排条例は、暴排条項にしたがって解除することを妨害してはならないと規定しています。そして、実際に
妨害を行う者が現れた場合、公安委員会がそのような行為を中止するように命令し、そのような行為が中止
されることを確保するために必要な事項を命令することができると規定しています。
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