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「抵当権抹消登記手続」について・・・・・・・・・・・ 司法書士・露木 朗


  住宅ローンを完済したら、銀行から抵当権抹消書類一式を交付されました。どうすればいいのでしょうか?


   なるべく早く抵当権抹消登記の申請を行うことをお勧め致します。
   住宅ローンを完済した時点で、銀行があなたの土地・建物に対して有していた抵当権自体は消滅してい
  るのですが、抵当権の登記を抹消するための手続きをしない限り、登記簿上の抵当権の登記が自動的に
  抹消されることはありません。登記簿に抵当権の登記が残ったままですと、後々の売却の際や土地・建物
  を担保に融資を受ける際の障害となることがございますので、早めの手続きをお勧め致します。抵当権抹消
  登記手続きは、もちろんご自身で行うことも可能ですが、以下のような複雑な事案の場合には、司法書士
  に手続きを依頼された方が安心かと思います。

  1.お借入れ時点(抵当権の設定登記をした時点)からローン完済、抵当権抹消登記の申請時点までに土
   地・建物の所有者が住所を変更している場合

    この場合には、抵当権抹消登記の前提として、登記簿に記載されている所有者の以前の住所を、現在
   の住所に変更する登記をする必要があります。この住所変更の登記申請の際には、登記簿上の住所か
   ら現在の住所までの住所移転の経緯を、公的文書で証明する必要があります。一般的には、引越し前の
   住所が記載された住民票を添付するのですが、数回の引越しを行った場合などは、それだけでは足り
   ず、本籍地の役所で取得した戸籍の附票や改製原附票というものを添付することもあります。

    しかし、ここで問題となるのが、役所内でのこれらの記録の保存期間です。住宅ローンの完済までには
   30年以上を要することも珍しくないと思いますが、たとえば、住民票は、引越しをされて他の市区町村へ
   移転した場合、そこから5年で廃棄されてしまいます。このように、保存期間が意外と短いために、お借入
   れ時点 から現時点までの住所移転の経緯を証明する書類が取得できないということが起こり得るので
   す。移転の経緯を証明できなかった場合には、個別に登記所と相談し、事案ごとに追加で書類を提出す
   ることとなります。

  2.土地・建物の所有者が亡くなられ、その後にその住宅ローンが完済された場合
    この場合には、抵当権の登記を抹消する前提として、相続人に土地・建物の名義を変更する相続登記
   が必要となります。相続に関して争いがあるような場合には、スムーズに相続登記・抵当権抹消登記が
   進まないこともあり、注意が必要です。

  これらの登記手続きについてご不明な点がございましたら、ご相談下さい。


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