「ペットを飼う時の対応と責任」について・・・・・・・・・・・ 弁護士・中島徹也
ペットを飼おうと思っているのですが、以下の場合に法律上どのような対応・責任が考えられるのか教えてください。
@ペットショップで購入したペットが病気にかかっていた場合
Aペットが他人に危害を加えてしまった場合
B預けていたペットが死んでしまった場合
@・・・売主であるペットショップには、病気などにかかっていない「中等の品質を有する」ペットを売り渡す義務がありま すから(民法401条)、この場合、ペットショップに債務不履行があることになります。そこで、購入者としては、病 気にかかっていないペットと交換してもらう(代物請求)、そのペットの病気の治療費を請求する(損害賠償請求)、 そのペットを返品して購入代金を返還してもらう(契約解除)などの対応をとることができます。
なお、ペットショップの契約書に「ペットは生体のため、返品や交換には一切応じない」という趣旨の条項が記載 されていることがありますが、これについては、消費者契約法8条を根拠にその無効を主張することが可能です。
A・・・飼っているペットが他人の身体や財産に危害を加えた場合、飼い主は、「動物の種類及び性質に従い相当の注 意をもってその管理をした」ことすなわち自分の無過失を立証しなければ、他人に与えた損害を賠償しなければな りません(民法718条)。通常の不法行為では損害を受けた者が相手方の過失を立証する必要があるのに対し、 飼っているペットによる場合は過失の立証責任が転換されている点で、飼い主の責任は重くなっているともいえる でしょう。
実際、犬が人に咬みついた等、飼っているペットが他人に直接害を与えた場合には、飼い主が「相当の注意」を したとして責任を免れることはほとんどありませんから、ペットの飼い主は十分に気をつける必要があるでしょう。
B・・・ペットを他人に預けるという行為は、民法上の寄託契約にあたります。このため、質問の場合、預り主がペットを 預かっている際に注意義務を尽くしていなかったという事情があれば、預り主に対して損害賠償を請求することが できます。
ただし、ペットホテルに預けるなどの有償の場合には預り主は「善良なる管理者の注意義務」をもってペットを預 からないといけませんが(民法400条)、友人に好意で預かってもらうなどの無償の場合には「自己の財産におけ るのと同一の注意義務」をもって預かるので足りる(民法659条)というように、有償か無償かで預り主の注意義 務に違いがあるということに注意が必要です。
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