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「配偶者の暴力について」・・・・・・・・・・・ 弁護士・上田裕介

 夫から、暴力を受けています。夫とは離婚したいと考えていますが、離婚の話を持ち出すだけでより酷い暴力を受けそうで、切り出せないでいます。夫から避難しながら離婚する方法はないでしょうか。

 配偶者から暴力を受けているという方のための避難場所として、一事保護施設(いわゆるシェルター)があります。このシェルターについては、配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所において、入所について相談に乗ってくれます。暴力への対処として、警察に被害届を出したり、相談していくことも考えられます。

 警察庁によると、平成19年中に国内の警察が受けた配偶者暴力(ドメスティック・バイオレンス)の相談や被害届が、前年比15.1%増の2万0992件で過去最多となったということです。
 また、配偶者からの暴力を防止するための手段として、DV防止法に基づく、裁判所による保護命令を得ることが考えられます。

 保護命令には、つきまといや徘徊を禁止する接近禁止命令、共に生活していた住居から退去を命じる退去命令があり、保護命令に違反した配偶者には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。平成19年には、DV防止法が改正され、保護命令制度が拡充されました。

 保護命令制度の拡充のポイントとしては、暴力のみならず、生命・身体に対する脅迫を受けた被害者も保護命令の申 立てができるようになったこと、被害者に対する電話・電子メール等の禁止ができるようになったことが挙げられます。

 以上のような、シェルターの利用や、警察への相談、保護命令の獲得と並行して、家庭裁判所に対して、離婚調停申立をしていくことが一般的には考えられます。

 東京家庭裁判所では、DVの事案では、調停への出頭時間をずらしたり、待合い室のフロアや調停室を変えたりして、調停の際当事者が顔を合わせてトラブルが起こらないよう配慮をしてくれています。

 以上のように、シェルター、警察への相談、保護命令、家庭裁判所の調停等を利用することにより、配偶者との間のトラブルをできる限り小さくしつつ離婚する制度が整えられています。


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