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特    集

「法テラス(日本司法支援センター」・・・・・・・・・・弁護士・小畑雄一郎

 平成18年4月10日に設立された日本司法支援センターは、「法で社会を明るく照らしたい」「皆様がくつろげる陽当たりの良いテラスのような場所にしたい」との願いを込め『法テラス』という愛称で、平成18年10月2日から、業務を開始しました。
 そこで、今回は『法テラス』の理念や主な業務を、わかりやすく紹介します。

1 沿革・理念
 平成13年6月に発表された「司法制度改革審議会意見書」は、司法制度改革の根本目的について「国民を統治の客体ではなく、統治の主体として位置付け、法の支配をこの国の血となり肉となるようにすること」と指摘しました。それは、国民の間に生起する様々な紛争が、公正かつ透明な法的ルールのもとで解決される社会を目指すというものです。
 そしてこの意見書に基づいて、平成14年7月、司法改革推進本部顧問会議は、二十一世紀の日本を支える司法の姿として以下の3つのFを提示しました。
 @国民にとって身近でわかりやすい司法(Familiar)、A国民にとって頼もしく公正で力強い司法(Fair)、B国民にとって利用しやすく速い司法(Fast)、の3つです。
 この3つのFの趣旨を受けて、平成16年6月に「総合法律支援法」が制定され、その実施機関として「法テラス」が設立されたのです。
 この総合法律支援法2条には、「民事・刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指す」と規定されており、それが法テラスの基本理念になるわけです。

2 業務内容
 法テラスの業務内容は、大きく分けると、以下の五項目あります。
 第一の司法情報の提供は、法的トラブルの紛争解決に役立つ法制度及び関係機関の情報や資料を国民に提供するというものです。具体的には、法テラスコールセンターが設置され、どんな問い合わせにも適切に対応できるように、法律アドバイザーと呼ばれる弁護士が常駐し、オペレーターをフォローする体制をとっています。
 第二の民事法律扶助とは、資力に乏しい方が法的トラブルにあったときに、無料の法律相談を行ったり、訴訟費用の立て替えなどをする業務です。
 第三の国選弁護関連業務とは、国選弁護人契約の締結、個別事件についての国選弁護人候補の指名・通知、国選弁護人に支払うべき報酬・費用の算定・支払の3つが主な内容です。
 第四の司法過疎対策は、近くに弁護士や司法書士といった法律専門家がいないなどの理由で法律サービスを受けることが難しい地域において、法テラスに勤務するスタッフ弁護士が法律サービスを提供する事業です。
 第五の犯罪被害者支援は、犯罪被害に遭われた方やその家族に対し、被害や苦痛の回復を図り、刑事手続に適切に関与するための情報提供を行い、支援に精通している弁護士の紹介などを行うものです。

3 このように法テラスは、国民の司法へのアクセスを抜本的に拡充するために設立されました。紛争があってもこれまでは、泣き寝入りしたりですとか、地域のボスが仲裁したり、暴力団が介入したりといった処理がなされてきた司法空白領域を少しでも埋めていくことが、法テラスに望まれることなのです。
 なにぶん設立されて間もない制度ですから人材が不足しているのが実情で、特に前述のスタッフ弁護士の確保が当面の課題となっております。そこで、現在、全国各地の法律事務所を中心に広く法曹界から人材の提供を受け付けています。当事務所におきましてもスタッフ弁護士の養成という形で法テラスの事業に協力しております。


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